建設業許可の業種区分について(設備・インフラに関する工事)

建設業において、建物や工作物に「命」を吹き込み、人々が快適かつ安全に過ごせる機能を付加するのが「設備・インフラ」に関する工事グループです。このグループには、電気、水、空気、情報通信といった現代社会のライフラインを支える8つの専門工事が含まれます。

本記事では、各業種の内容と具体的な工事名称、そして実務上で特に注意が必要な「業種の境目」の判断基準について、ガイドラインに基づき詳しく解説します。

1. ライフラインを支える「電気・通信」の工事

建物に電力と情報を行き渡らせる、現代建築に欠かせない分野です。

① 電気工事

発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事です。

具体的な工事例:発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、照明設備工事、非常用電気設備を含む構内電気設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事、避雷針工事。
太陽光パネルの扱い:屋根一体型以外の太陽光発電設備の設置工事は「電気工事」に該当します。

② 電気通信工事

有線・無線電気通信設備、ネットワーク設備、放送機械設備等の電気通信設備を設置する工事です。

具体的な工事例:電気通信線路設備工事、電気通信機械設置工事、空中線設備工事、データ通信設備工事、情報制御設備工事、放送機械設備工事、TV電波障害防除設備工事。
注意点:既に設置された設備の改修や補修は含まれますが、保守点検(整備や修理のみの役務)は建設工事には該当しません。

2. 環境と熱を制御する「管・熱絶縁」の工事

水、ガス、空調など、目に見えない流れをコントロールするグループです。

③ 管工事

冷暖房、給排水、衛生等のための設備や、金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備を設置する工事です。

具体的な工事例:冷暖房設備工事、冷凍冷蔵設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、厨房設備工事、衛生設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事。
ポイント:建築物の中に設置される通常の空調機器の設置は「管工事」となります。

④ 熱絶縁工事

工作物やその設備を熱絶縁する工事です。

具体的な工事例:冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備、燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事、ウレタン吹付け断熱工事。

3. 動力を形にする「機械器具設置」の工事

多種多様な機械の組立て・設置を担う、専門性の高い業種です。

⑤ 機械器具設置工事

機械器具の組立て等により工作物を建設し、または工作物に機械器具を取り付ける工事です。

具体的な工事例:プラント設備工事、昇降機設置工事(エレベーター等)、内燃力発電設備工事(ガスタービン等)、給排気機器設置工事(トンネル、地下道等用)、舞台装置設置工事、サイロ設置工事、立体駐車設備工事、揚排水機器設置工事。
区分の考え方:非常に広範な内容を含みますが、他の専門工事(電気、管、通信、消防等)と重複する場合は、原則としてそれぞれの専門工事に区分されます④ 熱絶縁工事

4. 公共の安全と衛生を守る「水・清掃・消防」の工事

インフラの根幹を成し、人々の生命を守る設備です。

⑥ 水道施設工事

上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事、または公共下水道・流域下水道の処理設備を設置する工事です。

具体的な工事例:取水施設工事、浄水施設工事、配水施設工事(配水池等)、下水処理設備工事。
管工事との違い:家屋等の敷地内の配管や配水小管を設置する工事は「管工事」となります。

⑦ 清掃施設工事

し尿処理施設またはごみ処理施設を設置する工事です。

具体的な工事例:ごみ処理施設工事、し尿処理施設工事。
区分の考え方:公共団体が設置する汲取方式のし尿処理施設が該当します。浄化槽による処理施設の建設は、規模に関わらず「管工事」となります。

⑧ 消防施設工事

火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置・取付する工事です。

具体的な工事例:屋内・屋外消火栓設置工事、スプリンクラー設置工事、水噴霧・泡・不燃性ガス等の消火設備工事、火災報知設備工事、漏電火災警報器設置工事、金属製避難はしご(組立式)、救助袋、緩降機、避難橋、排煙設備の設置工事。
階段の扱い:ビルの外壁に固定された避難階段は、躯体の一部として「建築一式工事」または「鋼構造物工事」に該当します。

5. 実務上の重要ルール:複雑な「業種区分」

設備系の工事は、目的や設置場所によって判断が分かれるケースが多くあります。

上下水道の3区分
土木一式工事:公道下の配管工事や処理場の敷地造成。
管工事:施設敷地内の配管工事や配水小管の設置。
水道施設工事:取水、浄水、配水施設や処理場内の設備築造。

公害防止施設の設置: 単体で設置する場合、排水処理設備なら「管工事」、集塵設備なら「機械器具設置工事」に区分されます。

空調設備: 建物内の通常の空調は「管工事」ですが、トンネルや地下道等の特殊な給排気用機械器具の設置は「機械器具設置工事」となります。

まとめ

設備・インフラに関する工事は、機能が複雑に絡み合うため、「施工のプロセス」や「設置される目的」を正確に捉えることが重要です。また、「指定建設業」に定められている「電気工事業」や「管工事業」において特定建設業許可を受ける場合は、一級の国家資格や技術士資格が必須となり、実務経験のみでの専任技術者就任は認められないといった厳しい制約もあります。

自社の工事がどの専門業種に該当するか迷う場合は、各自治体が発行する最新の「建設業許可の手引」やガイドラインを詳細に確認するようにしてください。

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