建設業許可の業種区分について(躯体・基礎・構造に関する工事)
建設業において、建物や工作物の安全性、強度、そして寿命を決定づける最も重要なプロセスが、「躯体・基礎・構造」に関する工事です。これらは建物の「骨組み」や「土台」を作るもので、建設業許可の29業種の中でも、専門的な技術力と他業種との緻密な連携が強く求められるグループです。
本記事では、このグループに含まれる各業種の具体的な内容から、実務上で特に注意すべき「業種の境目」、さらには具体的な工事名称の例まで詳しく解説します。
1. 躯体・基礎・構造を支える7つの専門工事と具体例
このグループには、施工の目的や技術的類似性から、主に以下の7つの業種が分類されます。
① とび・土工・コンクリート工事
足場の組立てや、重量物のクレーン等による運搬配置、くい打ち、土砂の掘削・盛土、コンクリートの打設など、工事全体の準備や基礎となる工程を非常に広くカバーします。

具体的な工事例:とび工事、足場等仮設工事、重量物の揚重運搬配置工事、鉄骨組立て工事(現場での組立てのみ)、くい工事、場所打ぐい工事、土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、プレストレストコンクリート工事(橋梁等の一式工事を除く)、地すべり防止工事、地盤改良工事(薬液注入やウェルポイント等)、土留め工事、仮締切り工事、法面保護工事、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事。
② 大工工事
木材の加工や取付けによって工作物を築造、または木製設備を取付けます。

具体的な工事例:大工工事、型枠工事、造作工事。特にコンクリートを流し込むための枠を作る「型枠工事」は、構造体を作る上で欠かせない工程です。
③ 鉄筋工事
棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、または組立てる工事です。

具体的な工事例:鉄筋加工組立て工事、鉄筋継手工事(ガス圧接継手、溶接継手、機械式継手等)。
④ 鋼構造物工事
形鋼、鋼板等の鋼材の加工または組立てにより工作物を築造します。

具体的な工事例:鉄骨工事(製作から組立てまで一貫)、橋梁工事、鉄塔工事、石油・ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事(製作から設置まで一貫)、水門等の門扉設置工事。
⑤ 石工事
石材(石材に類似のコンクリートブロックや擬石を含む)の加工や積方により工作物を築造、または取付けます。

具体的な工事例:石積み(張り)工事、コンクリートブロック積み(張り)工事(擁壁や擬石張り等)。
⑥ 左官工事
工作物に壁土、モルタル、漆くい等を塗り付け、吹き付け、または貼り付けます。

具体的な工事例:左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事(建築物に対するもの)、とぎ出し工事、洗い出し工事。
⑦ 解体工事
工作物の解体を行う工事で、平成28年6月に新設されました。

具体的な工事例:工作物解体工事、建物を壊して更地にする工事。
2. 実務で迷いやすい「業種区分」の重要ポイント
躯体や構造に関する工事は、使用する材料が同じでも、「施工のプロセス」や「目的」によって許可業種が厳格に区別されています。
鉄骨工事の判断: 鉄骨の製作、加工から組立てまでを一貫して請け負う場合は「鋼構造物工事」となりますが、既に加工された鉄骨を現場で組み立てることのみを請け負う場合は「とび・土工・コンクリート工事」に該当します。
コンクリートブロック工事の「3つの顔」:
1. とび・土工・コンクリート工事:根固めブロックや消波ブロックなど、土木工事において規模の大きい据え付けを行う場合。
2. 石工事:建築物の内外装として擬石等を張る工事や、法面処理、または擁壁としてブロックを積み・貼り付ける場合。
3. タイル・れんが・ブロック工事:ブロックにより建築物を建設する工事やエクステリア工事の場合。
防水工事の境界: 一般的な建築系の防水は「防水工事」ですが、トンネル防水工事などの土木系の防水工事は「とび・土工・コンクリート工事」に分類されます。また、モルタルを用いた防水は「左官工事」でも施工可能です。
吹付け工事の区別: 建築物に対するモルタル等の吹付けは「左官工事」ですが、法面保護等のためにモルタルや種子を吹き付ける場合は「とび・土工・コンクリート工事」となります。
3. 「指定建設業」としての厳しい要件
躯体・構造に深く関わる業種のうち、施工技術の総合性や公共性が特に高いとされる以下の業種は、「指定建設業」に定められています。
土木一式工事業
建築一式工事業
鋼構造物工事業 (※このほか、電気、管、舗装、造園も含まれます)
これらの業種で、元請として大規模な工事(下請契約総額が5,000万円、建築一式は8,000万円以上)を施工するために必要な特定建設業の許可を受ける場合、専任技術者は「実務経験」だけでは認められません。一級の国家資格(一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士等)や技術士資格などが必須とされる非常に厳格な基準となっています。
まとめ
躯体・基礎・構造に関する工事は、建物の安全の要です。そのため、建設業許可における区分は、「加工から行うのか、組立のみか」「土木目的なのか、建築目的なのか」といった施工プロセスの視点が欠かせません。自社の業務がどの業種に該当し、どの許可を取得すべきかを正確に判断することは、コンプライアンス(法令遵守)の観点からも、経営の根幹に関わる重要な判断となります。
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